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北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~

五味洋治

(2008.8.29)

 

連載(15)

第1章 自国内での金儲けを認める

 

第一百貨店の謎

 

    一方で北朝鮮ビジネスをめぐり詐欺まがいの話も出回っている。「平壌にある北朝鮮最大のデパートの経営を10年契約で請け負った」――。ある中国人企業家がこう発表した。ところが、年末に新装開店のはずなのに工事が始まらず、中国では経営請負を否定する報道まで飛び出した。

 

    「今わずか2万元(約26万円)を持って北朝鮮に行けば、簡単に富豪になれる。そのうえ、素朴な北朝鮮の娘と結婚できるかもしれませんよ」

 

    2004年夏、中国南部・温州市のホテル。大広間にあふれた500人以上の聴衆がどっと笑った。ここで、「(北)朝鮮商機(ビジネスチャンス)報告会」と題して講演していたのは、同市出身の曽昌?・中旭グループ会長(35)だ。現在、中国で最も注目を浴びている企業家である。

 

    曽会長によれば、平壌市内の北朝鮮最大のデパート第一百貨店に5000万元(約6億6000万円)を投資して全面改修し、年末に新装開店させることで北朝鮮貿易省と合意したという。


    「北朝鮮は日用品が不足しており、中国製品は、中国国内の5~10倍で売れる」というのが曽会長のうたい文句だ。先月上旬、この話を中国各紙が一斉に報じ、日本や韓国にも転電された。権威の高い中国中央テレビ(CCTV)も、人気対談番組に曽会長を出演させ、一気に北朝鮮投資ブームが巻き起こった。

 

    実際に曽会長の講演会を聞いてみると、百貨店の話はなく、自ら経営する大型ショッピングセンターの話ばかり。「このセンターは北朝鮮貿易の基地であり、入居すれば第一百貨店で品物の販売ができる。北朝鮮を訪問したければビザ、飛行機のチケット、平壌でのホテル代も、私が負担する」と言う。曽会長の目的は、1平方メートル3680元(約5万円)もするショッピングセンターの入居者募集のようだ。