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北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~

五味洋治

(2008.8.29)

 

連載(14)

第1章 自国内での金儲けを認める

 

秘密旅行

 

    中国の人たちにとって北朝鮮は神秘の国と映る。平壌への旅行は、時々の政治情勢で中断されるが、根強い人気がある。そんな中、北朝鮮大使館の中にある朝鮮国際旅行社が、ひそかに「カジノツアー」を募集していると聞いた。

 

    パンフレットはないが、正式名称は「平壌娯楽参観団」という。2000ドル(約20万円)以上を持って平壌市内にあるカジノに行けば、現地でのホテル代や昼間の観光費用を無料にするという「ラスベガス式」ツアーだ。

 

    実際に申し込んでみた。後でトラブルになるのはいやだったので、日本で新聞社に勤務することも伝えた。手続きは順調に進み、北京―平壌を結ぶ高麗航空の航空券や観光ビザも発給された。さらに「(北朝鮮)国内で撮影した写真、ビデオは報道目的で使わない」との誓約書にサインしたが、平壌に発つ前日、私の携帯に北朝鮮大使館領事部の人間から電話が来た。ツアー参加を中止してほしいというのだ。本国から「日本のマスコミ関係者は当面入国を拒否する」と伝えてきたという。

 

    すでに2000ドルは旅行社に渡している。旅行社に行くと「受け取ったドルは本国に送金されている。直接カジノに行って受け取ってきて欲しい」との答え。こちらもそう簡単にはあの国に行けない。色をなして返金を求めたが効果はなく、結局ドルは一部しか返ってこなかった。今は、領事部ぐるみの詐欺に遭ったのではないかと考えている。