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金剛山銃撃事件の正しい解決方法

~「合同調査」を主張してはいけない~

「合同調査」で期待できる「最善」の結果は「真相究明」とは関係のない

  「両非論」の引分けゲームになるだけだ

李東馥 :元国会議員

(2008.7.18)

 

    北朝鮮軍による金剛山観光客銃撃殺害事件に対する南側の対応が段々おかしくなっていく。南側では今政府、与・野党、市民団体などがいわゆる「合同調査」にしがみついている。李明博政府の統一部は、「南北合同調査」による「真相究明」のみを要求しながら、その内容の「電話通知文」を北側に「受付」させるために必死に努力している。統一部は15日、二番目の「電話通知文」を北側に伝えようとして再び断られた。それでも「統合民主党」や「民主労働党」をはじめ、「親北・左派」性向の政党・団体らは「合同調査」や「真相究明」を合唱し、「災い転じて福と為す」を注文している。

 

    現代峨山の尹萬俊社長は、金剛山で2泊3日間「名勝地開発指導局」というなじみのない「機関」を相手に「合同調査」の受け入れを泣訴して15日手ぶらで帰還した。彼はこの日の午後、金夏中統一部長官を訪問し、彼が金剛山で北側の人々と交わした内容をブリーフィングした。それに対する金長官の反応は、「北朝鮮が一日もはやく我が方の要求に応じて、徹底した真相調査が成され、国民の知りたいことや不満を解消して、南北関係の発展を期待する」とのことだった。相変らず「合同調査」を通じての「真相調査」に執着しているのだ。統一部が、北側がいわゆる「合同調査」を受け入れるように国際世論に訴える方法を検討しているという報道もある。

 

    しかし,この問題は冷静に検討する必要がある。仮令、北側がこのような南側の要求を受け入れて「合同調査」が行われれば果たして「真相究明」ができるだろうか?金夏中長官をはじめ、このような方式の事態収拾を強勧している人々の考えは、このような方法で「真相究明が可能だと実際に信じるのか」ということだ。事実は14日に、それよりさらに呆れることが起こった。与党のハンナラ党の院内代表という人が、国会本会議での演説を通じ、「南北政治協商会議を開いて金剛山銃撃事件を解決しよう」という真に呆れ返ることをしゃべるところまで至っているのだ。

 

    実は、筆者は、いったい北朝鮮がなぜ南側の「合同調査」の要求の受け入れを躊躇するのか理解し難い。仮に、「合同調査」が実現したとしよう。実際に事件の当日、事件現場で実際に北側の誤りがあった場合、果たして「合同調査」の場で北側がその誤りを認める可能性があると信じるのか?また、「合同調査」で北朝鮮が自分の誤りを認めないのに、「真相」が明らかになると考えるということなのか?そうでない場合いったいいかにして「真相」を究明するということなのか?

 

    分断され63年が経つ韓半島では、北朝鮮による数多くの武力と暴力挑発があった。最も大きなことは「6.25戦争」だ。1953年休戦以後も、北朝鮮の武力・暴力挑発は中断されたことがなかった。休戦ライン上で、東西の海上で、そして国内外での北朝鮮の挑発行為は数えられないほどだ。彼によって発生した人命被害も少なくなかった。大きな事件だけを見てみよう。1968年の「1.21青瓦台襲撃事件」、その年10月の「東海岸武装共匪浸透事件」があり、1974年には大統領夫人の生命を奪った「8.15文世光事件」、1976年には「8.18板門店斧蛮行事件」、1983年には全斗煥政権の高官17人を一度に死なせた「アウンサン廟爆破事件」、1987年には「大韓航空858機の空中爆破事件」、そして1990年代に入っては「東海岸潜水艦浸透事件」が相次いだ。もちろん北朝鮮の武力・暴力挑発はこの程度ではなかった。

 

    だが、北朝鮮は一つも彼らの挑発だと認めた事実がない。しかもただの一度も「合同調査」のようなものを受け入れたこともない。このような北朝鮮をいったい何を根拠にして、北朝鮮が悔改めて反省し、今回の事件を持って「合同調査」を受け入れ、彼らの誤りを認めるだろうと信じられるということなのか?実は、北朝鮮が「合同調査」を受け入れると、それこそ心配すべき事態だというのが筆者の考えだ。「合同調査」が実現されると、北側は彼らの誤りを否定するだけでなくむしろその責任を我が方に転嫁することが火を見るよりあきらかだからだ。北朝鮮はすでにいわゆる「名勝地開発指導局」の名でこうした開き直りをやっているところだ。北側が「合同調査」に同意し、今の主張を撤回する可能性が果たしてあるのかとのことが私たちの疑問だ。

 

    結局、「合同調査」がなされると、そこで考えられる「最善の結果」というのは「真相究明」とは関係ない両非論の無勝負ゲームしかないということが自明だ。むしろ新しい「むやみな支援」を賂物として強いられ、「南北関係の改善」という欺瞞的な「大義」を前に出し、①責任者の処罰、②補償、③謝罪などの要求はまともに議論もされず、どちら側を指すのかも分からない内容で「遺憾」を表明し、「これからは仲良くしよう」という無意味な「空の約束」を北から引き出す有耶無耶の帰結のほか、何を期待できるのかということだ。結局、今南側のあちこちで騒いでいるいわゆる「合同調査」による「真相究明」は、罪のない国民とくやしい被害者に、政府の一角と与・野党、親北左傾市民団体らがぐるになって、目に見える詐欺劇をもう一度演出するために共謀、作党する作態以外の何ものでもないのだ。

 

    洪準杓ハンナラ党の院内代表が、国会本会議での演説で取り上げた、いわゆる「南北政治協商会議」というものこそ、もう一つの代表的な詐欺劇だ。北朝鮮に洪議員が妄言のように「自由な政治家」がありはするのか?北朝鮮にあるのは朝鮮労働党だけだ。他のすべての政党団体などは朝鮮労働党の「脇役」であるだけだ。洪議員は、南側の今の野党らがこの「南北政治協商会議」に出ると、ハンナラ党と歩調を合わせるより、朝鮮労働党と組んでハンナラ党をいじめるのにもっと楽しみを感じるでないかという疑懼心を持ったこともないのか?もし、そのような憂慮が杞憂でないなら、このような「政治協商会議」は基本的に「2対2」でなく、「1対3」になる可能性が排除できないのだ。これまでの政治的行態から、ごく当たり前のこのような算術を洪議員は分からないのか?歯がゆくてならない。

 

    本来、今回のような事件に対しては国際的にも事実上制度化され確立されている解決の手順がある。①真相調査、②責任者の処罰、③謝罪、④補償、⑤再発防止保障策の用意がそれだ。ここで「合同調査」というのは「真相調査」の一方法であるだけだ。だが、利害関係の異なる加害者と被害者による「合同調査」は、決して公正な「真相調査」を期待できないとことは言うまでもないことだ。このため「加害者と被害者による合同調査」が「真相調査」の方法として使われる場合は多くない。むしろ完ぺきな「真相調査」は「公正な第三者」に任されるのがもっと普遍的だ。しかも、今回の金剛山銃撃事件の場合、すでに知られたことに追加して「合同調査」でさらに糾明する真相があるかという問題がある。「合同調査」は、加害者の北朝鮮には「逃げ道」を、そして現代峨山には「生きる道」を与える外にはできることがないのだ。

 

    すでに真相は全貌が明らかになっているし、今や問題はこれを土台に事件を解決、収拾することだ。いま南側がすべきとは、北側に①責任者を処罰して、②被害者に補償し、③事件に対して謝り、④再発防止措置を誠実に用意するように要求し、これを貫くことだ。李明博政府の統一部は、これ以上北側に「合同調査」を求めてはならない。あえて「電話通知文」に拘ることでもない。政府は、明日でも北朝鮮に対する以上の4項目の要求事項を「政府代弁人の声明」として内外に闡明すべきだ。もちろん、この要求事項に対して北朝鮮がすぐ呼応してくるはずがない。そのためこちらの要求を貫徹させるための方法も講じることが必要だ。

 

    そのような方法がないのか?あるというのが筆者の考えだ。戦争でもしろということではない。私たちは軍事的手段以外の「制裁」の手段を確保し、この手段らを逐次的・段階的に履行に移すことによって、北朝鮮政権にとって苦痛と不便を体験するようにし、苦痛と不便に耐えられず、我々の要求を受け入れざるを得ないようにさせることができるということだ。このような「制裁」措置には、まず今まで北朝鮮に提供された経済的支援を利用するのが良い。まず我々は金剛山観光を中断させる1段階の「制裁」措置を施行中だ。当然のことだ。今や、わが方の要求に対する北側の受け入れ拒否が続く状況では、後続する「制裁」措置を準備すべきだ。

 

    このためには、政府次元でこのような「制裁」に動員できる措置がどんなものがあるかを総体的に至急点検することが必要だ。ここには、当然「剛山観光」追加して「開城観光」はもちろん、政府と民間次元を網羅して、二つの「左派政権」が、「太陽政策」という美名で推進してきたいわゆる対北「経済協力」のプロジェクトを全て入れなければならない。「開城工団」はもちろん、その他のいわゆる対北「人道的支援」事業も当然入れなければならない。この既存の対北「協力」プロジェクトらを総体的に「在庫調査(inventory check)」をし、軽重と緩急を分けて順位を定めた後その優先順位により一つずつ「制裁」に動員する方法を研究しなければならない。

 

    このような「制裁」措置に対して「親北左派」勢力が反対することは当たり前だ。彼らの反対の一番目の理由は、「そのようにしても効果がない」ということだ。だが、このような理由は、彼ら自らの論理を否定する矛盾した主張であるだけだ。なぜなら、去る10年間「対北むやみな支援」を推進しながら彼らが使った名分の一つが、そうすることによって「北の対南依存を深化させる」ということだったからだ。その間の「対北むやみな支援」の規模がどの程度なのかを知る人がないが、1百億ドル以上という主張がある。その程度なら「北の対南依存度」は今は相当なレベルに達したと見るのが当然だ。これを武器化するということだ。北朝鮮に麻薬中毒者が麻薬供給が中断された時の「禁断症状」を体験させることで、苦痛に耐えられず韓国の要求を受け入れるようにするということだ。

 

    このようになれば「親北左派」側からは他の主張が出てくる。「北朝鮮の『反撥』のため平和が危うくなる可能性がある」ということだ。しかし、この主張も理屈に合わない。少なくとも韓米同盟が今程度でも健在中に北が軍事的に「反発」するち、その結果は北朝鮮の消滅で決着がつくことに疑問の余地がない。さらに、北朝鮮の「反発」で南北関係が一層梗塞した場合、その被害は我々でなく、北の分になるということに異論の余地がない。しかも今は北京の夏季オリンピック期間で、また「6者会談」が重大な山場に差し掛かっている。このような状況で北朝鮮の「反発」が南北関係の破局を招くほど激しくなり長期化する展望はない。

 

    今回の金剛山銃撃事件に断固として対処することに対して「親北左派」が南北関係の「梗塞」を理由に是非を論じるのは不当だ。今回の事件に対して断固として対処することは、南北関係を「後退」させるのではなく、「進展」させるのにその目的があるからだ。今回のような事件が起き、また今後も起きる可能性が封鎖されない状況で南北関係の「発展」を云々するのは「木によって魚を求める」のと同様であることは、今までの南北関係が雄弁してくれる。今回の事件に断固として対処することは、そのためにあり得る一時的な南北関係の「梗塞」を押し切っても、このような不祥事の根を断ち、そうすることによって今後の南北関係が正常に発展できる土台を設けるということだ。

 

    今や李明博大統領は決断を下さなければならない。李大統領は今回の金剛山銃撃事件が「偶発的事故」であってほしいという射倖心理を果敢に払い除けなければならない。北朝鮮で今回のような事故が「偶然」に起きたと考えるのは、60年近い歳月の間、北朝鮮問題を扱ってきたすべての専門家たちをバカにすること以外の何ものでもないとの事実を李大統領は認識すべきだ。北朝鮮の独裁者の金正日の今の関心事は、手段方法を選ばず、南側の「親北左派」らと連帯・提携し、李明博政府を揺さぶり、正常な国政運営を難しくすることで、李明博が「成功した大統領」になり彼の政府が「成功した政府」になるのを不可能にすることで、2012年の大統領選挙で「親北左派」政権の捲土重来を期するところにあることが明白だ。

 

    南側の「親北左派」勢力は、「米国産牛肉」の輸入許容問題を利用して「狂牛病」騒動を起こすことで、すでに「半分の成功」を収めている。その間の「ロウソク集会」で李明博政権の基盤をかなり弱化させたと思う金正日の北朝鮮は、いま金剛山事件で李明博大統領の残りの「気」をくじこうとしている。これを通じ、南側で行われた政権交替が持つ「右旋廻」の意味を希釈させるということであり、ひいては李明博政権を、その政治的支持基盤であるべき「保守右翼」勢力から決定的に遊離させる勝負手で、残りの「半分の成功」まで取ろうとしているのだ。

 

    このような状況で、李明博政府は今回の金剛山銃撃事件に関して絶対に押されてはいけない。政府はこれ以上遅くなる前に「合同調査」や「真相調査」という蜃気楼を追う詐欺劇をやめて、これからでも、北に対して①責任者の処罰、②謝罪、③補償、④再発防止措置の用意などの要求条件をはっきりと提示し、これの貫徹のための方案を確実に講じなければならない。この過程で、わが方にも一部の苦痛が伴うことがあり得る。例えば、現代峨山の経営難のようなものだ。だが、私たちは必要ならこのような代価を払うことを躊躇ってはいけない。逆に、こうした一時的苦痛に耐えても、北朝鮮の悪いクセを直すように強いることで、文字通り禍を転じて福となすの転機を作ることが望ましい。

 

    だが、政府が果たしてそうする勇気があるかという疑問に対し、私たちは深刻な憂慮を振り落とすことができない。それなら問題解決の鍵は再び国民の分になる。結局、最も確実な方法は、今回の金剛山銃撃事件を正しく解決する方向に北朝鮮の態度と立場の変化が生じるまで、国民の意志で金剛山観光をボイコットするしか他の方法がないように見える。そのようにすることによって現代峨山が犠牲羊になっても仕方ないことだ。事実はこうした危険は、金剛山観光という実に危険な投機を始めた時から自ら背負ったことでもある。今の南北関係の様相は、本当に必要なら現代峨山を犠牲の羊とすることがあっても、これ以上遅くなる前にその根元を正さなくてはいけない時点に来ていることを、李明博大統領はもちろん、国民皆が深く考えなければならない時であると思う。

 

 

www.chogabje.com 【2008-07-16 11:50】