現代コリア

TOP     日本     韓国(大韓民国)     北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)     その他     コラム一覧     佐藤勝巳     岡林弘志     五味洋治     田中明     会社紹介      

レーダー 対中経済傾斜に黄信号

野副伸一

(2008.5.8)

 

    2000年代に入り、韓国の対外経済関係は急激に変化してきている。その変化の特徴を一言で表現するなら、中国傾斜と日米の後退であろう。それは文末の表からも、はっきりと読み取れる。表は2000年から2007年までの韓国の対外貿易関係の変化を見たものである。輸出全体の伸びが平均して11.6%であるのに対し、対中輸出の伸びは23.7%と倍以上に大きい。その結果、2000年に10.7%であった輸出における中国のシェアは2007年には22.1%と、倍以上に膨れ上がっている。

 

    その間、対米、対日輸出はどうであったろうか。対米輸出の伸びは2.8%に止まり、その結果米国のシェアは21.8%から12.3%へと減少している。対日輸出も同様で、3.7%の伸びに止まり、日本のシェアは11.9%から7.1%へ減少している。今や日米のシェアを合わせても、中国一国のシェアに及ばなくなっている。

 

    輸入でも同様の現象が起こっている。輸入全体の伸びが平均12.1%であるのに対し、対中輸入の伸びは25.6%と大きく、その結果、輸入における中国のシェアは8.0%から18.2%へと倍以上に増加している。それに対し、対米、対日の伸びはこの間3.5%と8.5%で、シェアはそれぞれ18.2%から10.8%へ、19.8%から16.3%へと下がっている。長年第一位を占めていた対日シェアも、対中シェアにあっと言う間に追い抜かれてしまった。

 

    中国は、今や輸出のみならず輸入でも第一の市場になっている。それぞれの伸びから見て、韓国の輸出入における中国のシェアは今後とも拡大していくものと見られる。

 

    韓国の対中貿易で今一つ注目される点は、毎年大幅な黒字が実現していることである。対中貿易は韓国にとって“ドル箱”的存在なのである。

 

    このような急激な対中貿易の増加の背景には、韓国による活発な対中投資がある。韓国の対中投資は1992年の両国の国交正常化を機に増加し、1997年のIMF危機で減少に転じたが、2000年以降再度上昇に転じている。ピークの2004年には対中投資は62.48億ドルを記録し、日本の対中投資54.52億ドルを抜き、国単位では世界一の規模に達した。当時の韓国のGDP規模が日本の15%程度であった点を考えると、韓国の対中投資が如何に大きいものであるかが分かろう。

 

    対中輸出の急増の背景には、中国の旺盛な輸入需要、韓国製品の強い価格競争力が指摘されるが、この活発な対中投資が大きな要素になっている点も見逃せない。一説には対中輸出の四割が中国に進出した韓国企業向けとも言われている。

 

    上述した韓国を中心とする四カ国貿易構造は、これまで韓国にとって好ましいものであった。それを端的に示すのが表の一番下の欄の数字である。対米収支(a)+対中収支(b)+対日収支(c)は2006年まで常にプラス、即ち黒字を継続してきた。その黒字を全体の黒字で割った比率は、この間単純計算で平均28.7%にも達している。即ち、韓国の対中、対米、対日貿易はおつりの出る「黄金の四角形」とも言うべきものだったのである。

 

    ところが、この「黄金の四角形」が2007年にマイナスに転じてしまったのである。原因の一つとしてドル箱である対中貿易黒字が2005年をピークに減少に転じていたことが挙げられる。問題は対中黒字の減少が一時的現象でないことである。それは韓国の対中輸出製品のシェア低下から見て明らかであろう。韓国貿易協会のレポート「中国市場での韓国製品の輸出競争力」(2008年2月)によると、中国輸入市場における韓国のシェアは、2005年の11.6%をピークに2006年に11.3%、2007年に10.9%と緩慢な低下を示しているが、品目別に見ると、もっと急激な変化があり、別な印象を与える。

 

    2005年~2007年のシェアの変化を品目別に見ると、コンピュウタや石油化学製品等、一部品目においてシェアが持ち合いか小幅上昇しただけで、相当数が下落しているのである。大きいところを見ると、自動車部品が24.6%から12.2%へ、履物が21.8%から14.0%へ、タイヤが10.6%から3.4%へ、音響機器が14.1%から8.6%へ、皮革・毛皮が10.5%から8.2%へ、鉄鋼製品が16.2%から13.8%へとシェアを低下させている。韓国製品のシェア低下には、中国における部品・素材の国産化の急速な進展があり、さらに東南アジアからの追い上げも加わっている。

 

    「黄金の四角形」の崩壊には、対中黒字の減少だけでなく、対日赤字の増加という側面があることも見逃せない。表は韓国経済が対中黒字の減少という「突き上げ」と対日赤字の増大という「重圧」に挟まれ、正に「サンドイッチ」的状況にあることを端的に示しているのである。

 

 

参考資料>>韓国の対外貿易推移