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レーダー 李明博政権の経済政策
野副伸一

(2008.2.27)

 

    本日2月25日に李明博政権はスタートした。金大中、盧武鉉と左派政権が10年続く中で、韓国経済は成長率の低さに象徴されるようにその活力を低下させ、雇用問題等を深刻化させた。この点で、大方の見方には異論はないであろう。それだけに、新政権に掛ける国民の期待には大きなものがある。

 

    李明博政権は、何を目指しているのであろうか。大統領職引継ぎ委員会は1月13日、李明博政権を誕生させた時代精神を「発展と統合」であると規定し、「先進化を通じた世界一流国家の実現」を国家ビジョンに定め、また盧武鉉政権は「改革と分配」等理念問題を自らの国政哲学として主張したが、李明博政権ではそれは「発展と先進化」である、と発表した。

 

    それらの理念を具体化させたものが「7・4・7ビジョン」であろう。即ち、毎年7%の経済成長率を実現し、10年以内に一人当たり所得4万ドルにし、さらに10年以内に世界7大強国に浮上する、という構想である。

 

    李明博政権が推進しようとしている経済政策はどのようなものであろうか。『朝鮮日報』によると、引継ぎ委員会が1月13日に李明博に報告した52の優先推進案件の中で、45の案件が公約通り履行するように決定された。このうち18件が緊急案件で、27件が速度調節を必要とする案件に分類された。18の緊急案件には、企業対策として、①産業銀行の民営化、②金産分離(企業等産業資本が銀行を所有できないように規制している制度)の緩和、③大企業出資総額制限制度の廃止、④中小企業金融制度の改善、⑤持ち株会社規制の緩和、⑥企業相続等、企業関連税制の改編、等が含められている。特に②の金産分離は朴正熙政権以来歴代政権が大企業牽制策として堅持してきたものであり、さらに③の大企業出資総額制限制は盧武鉉政権が大企業改革の目玉として推進したものであった。

 

    18の緊急案件の内、不動産対策としては、①長期保有一世帯一住宅の譲渡税の軽減、②取得税、登録税の引き下げ、が含められている。また庶民生活面での対策としては、①通信費負担の軽減、②石油税負担の緩和、③出退勤時の高速道路通行料の50%引き下げ、④軽自動車へのLPG使用許可、⑤練炭使用補完対策、等が含められている。

 

    この日の会議では、不動産投機は流動性管理を通じて抑制するという方針の下に、総合不動産税引き下げ等の論議は当分間しないこと、また批判の多い信用不良者に対する借金棒引き公約については、修正案を作成した後速やかに推進する方針が決められている。

 

    以上、李明博政権の経済政策について、具体的内容を紹介した。上述した内容から、李明博政権の経済政策が親企業的(ビジネス・フレンドリー)であることが窺える。それは李明博大統領が韓国憲政史上初の経済界出身の大統領である点から容易に想像されることであるが、今後の李明博政権の政策運用を考える上で極めて重要な点でもあることを強調しておきたい。

 

    李明博大統領は周知のように、鄭周永現代グループ会長の側近として、また現代建設の社長・会長として、企業経営の内実、さらに歴代政権の企業政策の表と裏を知り尽くして来た企業家である。企業の生殺与奪を握った歴代政府の横暴を体験してきた人物でもある。そういう苦い体験を企業には繰り返させたくないというのが李明博大統領の願いでもあり、それが企業側の期待でもある。李大統領が今後打ち出す経済政策は企業の活力を増大させるであろうが、それに止まらず、企業の透明経営と自浄努力を促進させる契機になれば、韓国経済は名実共にパワフルな先進国経済に脱皮していけるものと思われる。李明博政権の出帆には、そういう可能性を期待させるものがある。