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民主党・自民党に変な動きがはじまった

佐藤勝巳

(2008.2.20)


    なにやら朝鮮問題が賑やかになってきている。


    22日頃、民主党内に北朝鮮と幅広い交流の促進により拉致問題などを解決し、国交正常化実現を促す議員連盟「朝鮮半島問題研究会(仮称)」が有志議員15名ほどで立ち上げるという報道が流れている。

 

    発起人(敬称略 五十音順)青木愛、市村浩一郎、川内博史、川上義博、喜納昌吉、今野東、千葉景子、自見庄三郎、外山斎、平岡秀夫、藤谷光信、松野信夫、室井邦彦、山下八洲夫、横峯良郎 だという。

 

    実は、似たような組織が07年12月11日自民党内に既に結成されていた。以下がその名簿であるが、ある大手報道機関の記者は「この人事は衛藤征四郎、山崎拓、平沢勝栄の3名で決めたものだ」と語っていた。全派閥を網羅しているところが特徴である。

 

 

自民党の「朝鮮半島問題小委員会」役員名簿


▼派閥別役員数(20名)

・山崎派4名・町村派3名・古賀派3名・島津派3名

・谷垣派2名・伊吹派2名・二階派1名・高村派1名・麻生派1名


【役員名簿】 

委員長

衛藤征士郎

町村派(清和会)

衆当選8

元防衛庁長官

最高顧問

山崎 拓

山崎派(近未来)

衆当選12

前副総裁

顧 問

愛知和男

二階派(新しい波)

衆当選9

元環境庁、防衛庁長官

臼井日出男

高村派(番町会)

衆当選8

防衛庁長官・法務大臣

中馬弘毅

麻生派(為公会)

衆当選9

元行革担当大臣 

副委員長

太田誠―

 古賀派(宏池会)

衆当選8

元行革担当大臣

大野功統

山崎派(近未来)

衆当選7

元防衛庁長官

金子―義

古賀派(宏池会)

衆当選7

元大蔵大臣

川崎二郎

谷垣派(宏池会)

衆当選8

厚生労働大臣

河村建夫

伊吹派(志師会)

衆当選6

元文部科学大臣

笹川 尭

島津派(平成会)

衆当選7

科学技術政策担当大臣

園田博之

谷垣派(宏池会)

衆当選7

党政調会長代理

船田 元

島津派(平成会)

衆当選9

元経済企画庁長官

細田博之

町村派(清和会)

衆当選6

元内閣官房長官

中曽根弘文

伊吹派(志師会)

参当選4

元文部大臣

溝手顕正

古賀派(宏池会) 

参当選4

元国家公安委員長 

 幹事長

茂木敏充

島津派(平成会)

衆当選5

元国務大臣

 幹 事

田野瀬良太郎

山崎派(近未来)

衆当選5

元財務副大臣

平沢勝栄

山崎派(近未来)

衆当選4

 

事務局長

高木 毅

町村派(清和会)

当選3

外務委員会理事

 

※但し自民党の方は、民主党と違って設立趣意書はあるのかも知れないが、報道関係や党内にも配布されていない。従って趣旨の分からない組織である。

 

 

民主党有志議員の設立趣意書は以下の通り

 

    わが国と朝鮮半島は、歴史的・地理的に密接な関係にあり、朝鮮半島の平和と隣接諸国との良好な関係は、北東アジア地域の安全保障と繁栄に極めて重要です。朝鮮半島の核問題をめぐる六カ国協議が進展し、米国と北朝鮮の関係が対話によって改善されつつあることは日本と北東アジア地域における安全保障の環境を整える上で重大な意味を持ちます。

 

    この流れを考える時、日朝間には様々な問題が横たわっておりますが、日朝ピョンヤン宣言に基づいて国交正常化の道を切り開ことは日本の国益に資するものです。したがって日朝間の直接的な対話と交流が途絶えた現在の状態をこのまま放置しておくことは決して好ましいことではありません。

 

    昨年、ハノイ、ウランバートルで日朝作業部会が開かれました。そこでは過去の清算や北朝鮮に対する制裁解除問題などが意見交換されたものの、拉致問題を含めた両国間の諸問題の解決及び関係改善への打開の糸口もつかめないままに今日に到っています。

 

    この度「朝鮮半島問題研究会(仮称)」を設立し、両国間の幅広い交流を促進させ、日本と北朝鮮間の諸問題、即ち拉致問題と核・ミサイル問題の解決、及び地域安全保障の確立を目指すことといたしました。

 

    なにとぞ、本趣旨にご賛同の上、皆様の積極的なご参加をお願い申し上げます 

 

 改めて解説するまでもなく、自民党山崎拓衆議院議員の主張とほぼ重なるものであることはお読み頂ければ分かるだろう。拉致議連、家族会、救う会と情勢の捉え方、運動の進め方も明らかに違う。

 

 民主党有志議員の現状認識は「朝鮮半島の核問題をめぐる六カ国協議が進展し、米国と北朝鮮の関係が対話によって改善されつつある」ということであるが、6者協議は、今完全にデッドロックに乗り上げている。

 

 理由は、金正日政権が、①07年末までに寧辺の核施設の無能力化、②全ての核施設の申告をすると約束をした。関係国は約束の実行を前提に20万トンの重油などを金正日政権に渡した。
 

 ところが金正日政権は、無能力化も全ての核施設の正確な申告も実行しなかった。それで6者協議は身動きできなくなっている。これが現状である。

 

 労働新聞など金正日政権の公式メディアは、自分の約束違反を棚に上げて、米国が「合意を守らない」とか、「金正日政権に対して敵視政策をとっている」といってブッシュ政権を激しく批判しているではないか。


 民主党有志議員の設立趣意書は、対話によって「米朝関係が改善されつつある」と書いているがこの現状認識は完全に間違っている。この程度の認識で金正日政権との幅広い交流だの「ピョンヤン宣言」がどうしたなどと言われると、失礼かもしれないが民主党議員の言うことではない。誰かが後ろにいるのではないかと気になる。


 自民党が「朝鮮半島問題小委員会」を立ち上げた時は、「ブッシュ親書」の内容がよく分からない時であったが、民主党有志議員の場合は、6者協議が事実上破綻している時にこの現状認識はちょっと酷すぎる。


 昔、日本社会党という政党の中に「朝鮮問題特別委員会」なる委員会があった。その会議には朝鮮総聯の国際部副部長クラスが常に出席、決議文や声明文の原文を書き、それを「審議」して、総聯傘下「朝鮮新報社」が印刷費負担をして、日本社会党朝鮮問題特別委員会の名前で決議文や声明文を対外的に公表していたことがあった。


 情勢がこれほど激変しているのに、こんなピントはずれの分析をしているのは日本社会党朝鮮問題特別委員会のように、別にゴーストライターがいるのではと、勘ぐられても仕方がないのではないか。
考え方の違いは何処にでもある。しかし、金丸信氏らのように政治家個人の売名のために国や国民を売るようなことがあってはならない。


 冗談ではなく各政治家グループが、わが国の対朝鮮政策をめぐって、国民の前で公開討論会を開いて切磋琢磨して欲しい。何よりも民主党について言うなら、党の拉致対策本部の考え方と違う。自分の党内でしっかりと意思統一を図って欲しい。