「中国を裏切ったり、信義を忘れたりしない」と公的な場で言わざるを得なくなったのではなかろうか。生殺与奪の権を胡錦濤に握られたと見るべきであろう。
そこで「金正日政権の延命を認めてやる。その代わり」という「裏取引」があったと推定される。正常な国家関係においては、ありえない話である。
また、中国の6者協議の議長を務めていた武大偉外務次官が、この流れの中で代表を退くということが起きている。中国共産党は、子分(金正日)が核を放棄しない限り、子分の延命に手を貸すことは考え難い。北京は金正日に対して核の放棄を求めているはずだ。
しかし、金正日がそれを呑めば軍が黙っていない。北朝鮮指導部は、後継者問題とも絡んでより深刻な矛盾に直面していると見るべきであろう。
同時に、金正日発言は、ヒルやライスに対しては裏切となる。筆者が指摘してきた「北京が駄目ならワシントンがあるさ」という北の独善的な「ウリ(われわれ)式」外交の破綻でもある。
表向きはともかく、米中とも金正日政権など誰も信用しない。これで6者協議は事実上終焉した。結局、なるようになったのだが、6者協議で消費された膨大な時間と無駄なエネルギー、そして巨額の経費、本当に愚かな話である。
他方、米中情報機関は金正日政権崩壊に備え、秘かに危機管理を話し合っているという情報が、昨年の夏ごろから筆者の耳に入ってきていた。最近ではそれが公然と報道されている。
一方、朝鮮労働党内では、1月31日、本ホームページに掲載された「金正日、韓国大統領選を誤判した統一戦線事業部の粛清を指示」(趙甲済 / 編集・翻訳 洪熒)で指摘しているように、韓国大統領選挙で与党候補が勝つと金正日に誤った報告をした統一戦線部の幹部が「査問」をされ粛清が進んでいるという。
さらに金正日に最も信任の厚い、金正日の財政を一手に握っている39号室の金庫番が、金正日のカネを横領、粛清されたとか、核心幹部の腐敗を伝える情報が後を絶たない。しかし横領した幹部をパージしても外貨収入が増えるわけではない。
ますます北朝鮮情勢から目が離せなくなってきている。