盧武鉉大統領と金正日は10月2日から三日間ピョンヤンで首脳会談を行い、会談最終日の4日「'南北関係発展と平和繁栄のための共同宣言(2007南北首脳宣言)」を採択、公表した。主な合意事項は、南北軍事力が交錯する漢江下流、つまりNLL(北方限界線)一帯を対象に「西海平和協力特別地帯」を新たに設置し、北朝鮮海州港への民間船舶直航路開設、共同漁業水域の設定、漢江下流の共同開発事業化などを約束して、必要資金などは南側が支援するとした。
【No.2】 京義線、東海線で南北鉄道が試験的運行
5月17日、京義線と東海線の南北非武装地帯で、試験列車が軍事休戦ラインを越えて往来した。鉄道・道路の南北連結構想は、1992年2月の南北基本合意書で初合意し、その後2000年6月15日の南北首脳会談で本格的推進が決まった。そして今年5月、朝鮮戦争以来となる南北を繋ぐ試験列車が休戦ラインで運行された。ちなみに盧武鉉大統領は、10月4日平壌で行われた南北首脳会談で陸路移動を選択し、韓国国家元首として初めて徒歩によって軍事境界線を越えた。
【No.3】 6ヵ国協議で「北核2・13合意」発表
北朝鮮核廃棄問題を論議する6ヵ国協議は、2月13日「北核2・13合意」を発表し、北核廃絶のためのロードマップを公表した。すなわち参加国は行動対行動を原則に、北朝鮮は第1段階会で核施設の閉鎖、封印を実行し、第2段階で核プログラムの完全申告と現存核施設の不能化を約束。そして北以外の参加国は北核プログラムの完全申告段階で、経済・エネルギーを支援し、テロ支援国指定の解除、米朝関係正常化などを行うと表明した。
この北核2・13合意は、1月にベルリンで行われたクリストファー・ヒル米国国務省次官補と金桂冠北朝鮮次官会談の米朝会談産物であった。
【No.4】 ブッシュ米大統領、金正日総書記に親書
12月4日、ジョージ・ブッシュ米大統領は金正日総書記宛に親書を初送付。ブッシュ大統領はこの親書で「核開発プログラムの完全申告」を促しつつ、その後段階で米朝国交などの大幅な米朝関係改善を行うと約束した。
米朝関係は今年、急進展した。6月と12月にはヒル米国代表が北朝鮮を訪問し会談。8月には対北水害の救援金として10万ドル提供。10月には北朝鮮のテコンドーチームが米国を巡回し、10月末にはソマリア海上で現地海賊に拿捕された北朝鮮貨物船「ダイホンダン号」を米海軍が救助。来年(08年)2月には、米国の名門交響楽団ニューヨーク・ フィルハーモニアのピョンヤン公演が合意されている。
【No.5】 8月、北朝鮮で大水害発生、来年の食糧問題が憂慮
2006年に続いて07年も北朝鮮に集中豪雨が襲来し、大規模水害が発生。8月7日からの集中豪雨はピョンヤンなどの主要都市や地方などを直撃。江原道利川郡では3日間の降雨量が840㎜に達し、ピョンヤンを貫流する大同江の中、上流も7~11日の4日間で524㎜の豪雨となった。
北朝鮮中央統計局は、この大水害で600余名が死亡し、数千名が負傷などと発表。住宅も24万戸が完全または部分破壊され、浸水農耕地は20万町歩以上と報道。発電所、変電所、炭鉱などの産業施設被害で経済活動が大きな打撃を受け、来年(08年)の食糧生産が憂慮されている。
【No.6】 2012年まで「強盛大国」を実現、経済再建がポイント
朝鮮労働党は11月30日から15年ぶりの「全国知識人大会」を開催。基調報告者の崔泰福政治局候補は「金日成生誕100周年目の2012年まで、国是・強盛大国を実現する」と強調して、政治・思想大国、軍事大国の課題は達成されたので、今後は経済大国建設に全力と総括した。これより先の10月26日には1994年以来の「全党細胞秘書大会」が開催され、ここでも「経済強国建設」が主要課題と宣言。
【No.7】 ベトナム最高指導者、北朝鮮を半世紀ぶり訪問
金正日総書記は10月16~18日、ベトナム最高指導者として50年ぶりに北朝鮮を訪問したノン・ドク・マイン ベトナム共産党書記長と会談し、疎遠な関係を続けてきた朝越関係を修復した。これに対して、北朝鮮金英逸(キム・ヨンイル)首相は10月26日から4泊5日の日程で、企業経営者など三十数人の経済代表団を率いてベトナムを訪問し、工業地帯など見学。金首相は27日、グエン・タン・ズン首相と会談して「農業科学技術協力に関する覚書」などに署名したので、北朝鮮は今後、「ベトナム式経済改革」を模索するのか、と注目されている。
ちなみに、今年(07年)北朝鮮が外交関係を樹立した国家は、モンテネグロ(7.16)、UAE連合(9.17)、スワジランド(9.20) 、ドミニカ(9.24)、グアテマラ(9.26)など。ミャンマーとは4月26日、24年ぶりに外交正常化を実現。
【No.8】 新首相に金英逸(ヨンイル)任命
第11期第5次最高人民会議(4.11)は金英逸(63歳)陸海運相を新首相に任命。金英逸首相は陸海軍省の末端職員からのし上がった立志伝的人物で、今回、金英逸が先輩副首相などを飛び越えて行政部門のトップに抜擢されたのは2005年、陸海運相として南浦港に数万トン級のリョンナム船舶修理工場を建設し、大型コンテナ船寄港が可能な新埠頭を完工させた実行力を金正日総書記が評価したと、韓国情報筋は推測している。2003年9月、首相に就任した朴ボンジュは、その後農業資金などで問題を起こして、昨年(06年)6月以降、公式活動に登場していない。
【No.9】 マスゲーム「アリラン祭」を公演
大規模マスゲームで有名なアリラン祭は2002年、2005年に続き、今年(07年)も開催されて話題となった。2002年、金日成主席生誕90周年を機に初演されたアリラン祭はマスゲーム参加者が6万人にも及ぶ一大民族祭典で、抗日武装闘争など北朝鮮近現代史の主要事柄をカードセクション(人文字)などで表現することで有名。アリラン祭の主目的は北朝鮮住民への体制宣伝だが、同時に外国人観光客を誘致する観光資源でもあり、10・4南北首脳会談に参加した盧武鉉韓国大統領も参観した。
【No.10】 ケ・スンヒ 世界柔道大会(52kg級など)で4連覇
北朝鮮スポーツ界の英雄ケ・スンヒ(28歳)は、9月世界柔道大会で金メダルを獲得し4連覇を達成した。06年、結婚によって引退説が拡がったが、今年の世界選手権大会優勝で健在ぶりを誇示した。19歳以下の若年女性サッカー代表チームも10月、中国重慶の「2007アジアサッカー(AFC) U-1大会」で優勝して、北朝鮮スポーツ界での女子選手活躍が目立っている。(古里谷 観)