李明博の当選は親北左派政権に対する韓国民の膺懲 洪 熒 (2007.12.21) ハンナラ党の李明博候補が大統領選で勝利し、金大中・盧武鉉の二代10年間続いた韓国の親北(親金正日)左派政権がついに終わった。李明博候補には最後の最後まで気の緩めない障害物や狙撃兵がたちはだかった。が、結果は、韓国の大統領選挙史上最大の531万票差の圧倒的勝利だった。歴代最低投票率という条件での最大の票差の勝利だから、韓国各地では、勝利を祝う保守右派の催しが寒い冬の夜の中でも行われ政権交替を実感させた。次期大統領の正式就任は来年の2月25日だが、李明博大統領当選者は自分の政権を「実用政府」と名づけ、政権引き受けに取り掛かった。一夜で権力が盧大統領から次期大統領へ移り始めた。 今度の大統領選挙は有権者による「無声無血」の革命だった。無所属の李会昌が獲得した15.1%を足すと保守右派が63.8%を獲得し、鄭東泳(26.2%)など左派陣営の35%を圧倒した。左派の35%の中には理念的には左派でない湖南地域の票が半分以上で、実際の左派への支持勢力は15%程度だった。選挙戦を通じ分かったのは、左派の組織力としての動員力の低下ぶりが想像以上ひどかったことだった。親北(親金正日)左派は既得権勢力の10年間を通じもはや野性や闘志を失った「太った豚」のようになっていた。金大中と盧武鉉も結局別々に動いた。 でも、どうして李明博や保守派はここまでの記録的得票ができたのか。 実は、去年9月以来大統領候補としての世論調査の1位だった李明博は、投票の2週間前の12月5日、彼に纏わった財産隠しの疑惑を検察が「嫌疑なし」と発表した時点で、次期大統領「当確」だったのだ。しかし、左派がこの検察の捜査結果発表を拒否する大々的非難キャンペーンを展開したことで、李明博は最後の危機に遭った。特に、投票の三日前、李明博の隠し財産ではないかと疑われた投資諮問会社「BBK社」関連の映像が公開され、左派が支配する国会は、投票の二日前、李明博が当選しても、特別検事により李明博候補の財産に纏わる疑惑を捜査する「李明博特検法」まで通った。 だが、これが逆に右派・保守系の親北左派政権終息(政権交替)の失敗への恐怖を呼び、扇動や謀略に長けた親北左派に騙された辛い教訓が、李明博への集中的投票を駆り立てた。ハンナラ党や李明博に不満の多い有権者も、ぶつぶつ悪口を吐きながらも李明博に投票した。というのは、保守層から見れば、巨大野党のハンナラ党は、同族を虐殺する金正日と組んだ左派反逆権力により国家(の富)が略奪されるのを傍観、積極的に阻止しなかったからだ。つまり、李明博への投票は、ハンナラ党を支持するとか、李明博が好きだとかとはあまり関係なく、親北左派政権に対する膺懲であり、無能で国民を裏切った勢力に対する報復的選択だったと言える。 その意味で、李明博政権登場の最大の貢献者は盧武鉉である。また、李会昌の出馬は、保守右派陣営を緊張させ、保守同士の競争による保守の拡大の効果をもたらした。同時に、無所属の李会昌が保守性を打ち出したことで、左派や金正日は、ハンナラ党への攻撃に集中できなくなった。平壌側(金正日)は11月以降はもっぱら李会昌だけを狂的に攻撃した。未熟な李会昌陣営が途中から左派を攻撃せず、李明博を攻撃する戦略的ミスを犯したが、とにかく、左派が想定してきた選挙政局を撹乱し、左派の伸びを食い止めた。李会昌はにわか出馬の大統領選を通じ「保守党」の結党の基盤を創るのに成功した。 ハンナラ党は、勝利の直後から盧武鉉大統領に、国会を通った「李明博当選者(次期大統領)に対する特検法案」を拒否するように迫っている。大統領選挙史上最大の圧倒的支持を得た大統領当選者(李明博)に対する「特検法案」は、法案そのものに違憲的要素が多い上、国民の政治的意思を無視している、という理由である。そもそも「李明博特検法案」と「三星グループの秘資金およびロビー活動に対する特検法案」は左派による総選挙戦略の最大の柱である。「三星グループ特検法案」は、今まで「南・北経済協力」に消極的だった三星グループを「対北事業」へ引き入れるための圧迫措置も兼ねているとの見方も多い。 普通の人々はあまり気付いてないが、今度の大統領選挙は実は次の総選挙と一体化し動いてきた。保守陣営も左派陣営も大統領候補が一本化できなかったのは、総選挙(来年4月9日)への事情があったからだ。大統領選挙運動期間中の12月11日から、第18代国会議員選挙への予備候補者の登録が始まった。保守右派は政権交替の前半戦の勝利の勢いで後半戦まで席捲を目指している。左派はパニックの状況である。4年前の総選挙では左派が議席を4倍以上増やし、過半数を制した。その時初当選の議員が6割を超えたが、今度もまた、4年前以上の議席交替が可能な状況である。保守右派は来春(4月)の総選挙を制してはじめて政権交替が完了する。 李明博政権の「国家正常化」の本格化と推進力は、大統領選と総選挙、政権交替の前半戦と後半戦にともに勝利してはじめて充分になる。もちろん、金正日との連邦制を完成直前まで持っていった守旧左派の執拗な抵抗はあるだろうが、李明博次期大統領は実行力、突破力が最大の強みである。韓国の国家正常化(先進化)には明確な国民的・社会的合意が望ましい。自由民主主義国家では公正な選挙こそ新しい社会的合意の根拠になるはずだ。 |