<ご挨拶>
皆様、今日は。
『現代コリア』の終刊で「レーダー」執筆の重圧から解放されてホットしたのも束の間、新たに『現代コリア』の電子版がスタートするに際し、筆者も参加することに致しました。
参加の理由は、動きの早い韓国経済は常時フォローしていないと何が何だか分からなくなってしまうこと、さらに「レーダー」執筆があったればこそ、筆者が韓国紙(朝鮮日報)を曲がりなりにも読み続けて来れたという現実があるからです。
「レーダー」のスタイルも変わり、以前のような見開き2ページという制約はなくなりました。しかし基本的には以前と同じような分量で、より自由な形で、最新の動きが紹介できたらと念じています。
今後とも、宜しくお願いします。
『現代コリア』2007年10月号の書評で、筆者は三橋貴明著『本当はヤバイ!韓国経済』(彩図社、2007年7月)を紹介した。この本は国際収支を分析のツールにして韓国経済の現状を俎上に載せ、「迫り来る通貨危機再来の恐怖」(副題)を分析したものである。折しもサブプライムローンの焦げ付き問題により、世界的な株価急落や資金不足が発生し、その影響が韓国にも及ぶ中で、本書の分析はかなり説得力のあるものと筆者には思えた。
そういう問題意識で筆者は韓国経済のその後の動きを見ているが、たまたま読んでいた呉源哲著『朴正熙はどうやって経済強国をつくったのか』(東西文化社、2006年7月、韓国語)の第4部第2章に「IMF危機の発生と解消」について分析したものがあり、現在の韓国経済を考える上で興味深い内容なので、簡単に紹介しておきたい。なお呉源哲氏は朴正熙のブレーンで、重化学工業団の団長として韓国の重化学工業化政策を陣頭指揮した人物である。
「1960年代初めに経済開発に着手した後、韓国は三回の経済危機を迎えた。最初は1963~64年の〝外貨枯渇〟による危機で、二番目が73年の第一次石油危機であった。そして三番目が今回のIMF危機である。これらの危機はすべて〝外貨枯渇〟によるものであり、その理由は簡単である。天然資源のない韓国は食糧品を始め、エネルギー、基本素材、中間部品等、甚だしくは技術まで輸入しなければならず、外貨が必要になる。外貨が枯渇すれば国家の経済運営を支えることができなくなり、これが正に経済危機に発展するようになる。それ故、経済危機を解決する道は、外貨枯渇を解消する方法しかない。
しかるに、韓国では朴正熙政権が退場した後〝輸出第一主義〟も退潮した。全斗煥も盧泰愚も金泳三も輸出の重要性について認識がなかった。その結果、韓国は金泳三政権になって、IMF危機に直面するようになった。IMF危機発生に対する責任は、全的に外貨管理をいい加減にしてきた金泳三大統領にあると言うしかない」
以上が呉源哲氏の主張である。表1~3は、呉源哲氏の著書に掲載された三大統領時代の国際収支の実績である。全斗煥政権時には最初の6年は経常収支赤字が大きく増加し、韓国は外貨危機に直面していたが、85年のプラザ合意後の輸出急増で危機は回避された。盧泰愚政権時にはプラザ合意の影響が残り、経常収支は累計で黒字が維持された。金泳三政権時には大幅な経常収支の赤字が累積し、それを放置した結果IMFに緊急資金支援を仰がざるを得なくなったのである。
表4~5は、筆者が呉源哲と同じ要領で作成した金大中政権と盧武鉉政権の国際収支の実績である。両者とも経常収支は大幅な黒字を記録している。この点から見ると、金泳三政権時のような国際収支状況とははっきり違う。ちなみに金大中政権と盧武鉉政権の経常収支の累積額(2007年上半期の赤字も含む)は1501億3900万ドルの黒字で、今年上半期の外貨保有額2507億ドル(韓銀発表)に対比し59.9%を占めている。韓国が保有する外貨のうち、〝真水(可用外貨)〟と見られるものが60%近くにもなる。それ故、国際収支危機には遠い状況と言える。
但し、盧武鉉政権の国際収支について注意すべき点がある。一つは経常収支黒字が2004年をピークに急速に下がってきており、今年の上半期には赤字に転じていることである。もう一つは貿易収支黒字の累計額が836億3500万ドルに達しているが、同じ期間の対中貿易黒字の累計額が775億4600万ドルで、全累計額の92.7%を占めている。対中貿易が韓国にとってドル箱であり、盧武鉉政権の国際収支好調を大きく支えていることがよく分かるが、危険分散という点で問題を残していると言えよう。
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