(4)従来、静観気味だった中間派の専門家、メディアからもヒルはあまりに功を焦りすぎて、北朝鮮に対して譲りすぎという批判が出てきた。
(5)福田・ブッシュ会談で首相からも訪米団と同じ趣旨の警告が伝えられたという。ただし、どれくらい明確な表現であったかは不明。
(6)北朝鮮が年末までに実施を約束した核計画の申告と寧辺施設の「無能力化」の中身がかなりいいかげんなものであることが明らかになり、シリアやイランとの共同核開発に関する新事実が明るみに出たりすると、ヒル路線への批判が一気に高まる可能性がある
という以上の活動、シーファー駐日米大使の発言、横田早紀江さん拓也氏のブッシュ大統領の面会など、色々な働きかけが首脳会談に反映したことは言うまでもない。では安心できるかというと、そうはいかない。ヒル国務次官補は、首脳会談が終わった直後から下院議員らにテロ指定解除要請を活発に働きかけている。
また、広くメディアが報道しているように、ヒルと金桂寛との間に「無能力化と指定解除の裏約束がある」という話は、ヒル氏の言動を見ている限り否定できない。
この種の政治的約束事は、力関係でどのようにでも変わっていく。初期のブッシュ政権は、金正日に強硬路線で臨んでいた。昨年11月の中間選挙での共和党の敗北とイラク政策の失敗で、民主党当時よりひどい宥和政策に変化し、今日では日米関係への緊張となっている。日本も自民党の参議院選挙敗北で、国際テロとの戦いからの離脱という不名誉極まりない地位に転落している。
国内の政治情勢によって対外政策は変わっていく。結局、日本人拉致被害者の奪還は、基本的に他国に依存するのではなく日本が解決しなければならないものである。外国の政権の多少の政策の変化に一喜一憂することなく、日本国民と政府が、奪還の基本政策を確立し、行動することである。
われわれは、さしあたってテロ支援国家指定解除を踏みとどまらせることが出来た。しかし、これは同時に金正日政権、盧武鉉政権の後退を意味する。必ず巻き返しが行われる。その兆しは既に11月6日付「金正日政権の対日工作が始まった」に触れているように、これからも金正日政権・盧武鉉政権、そしてヒル・ライス路線との厳しい戦いを覚悟しなければならない。