さらに不確実さ増す大統領選挙 「現代コリア」10月号掲載 洪 熒(早稲田大学客員研究員) 李明博氏がハンナラ党の大統領候補に決まった(8月20日)。李明博は敗者(朴槿恵など)の公約・政策をも継承し党の政策にすると約束した。朴槿恵氏は敗北を認め白衣従軍を宣言した。もし今すぐ大統領選挙をすると李明博氏が当選する。李明博の支持率は60%(8月末)を超え、他の政党は候補すら決まっていないからだ。 ハンナラ党の大統領選挙候補に決まった同じ日、「汎与圏」(親金正日左派)の受け皿の新党の「大統合民主新党」(呉忠一代表)が姿を現した。偽装廃業した旧ヨルリンウリ党に、民主党からの5人の議員と孫鶴圭が加わり、ほかに来年春の総選挙に関心のある、親北左派勢力の「市民団体勢力」を添え第1党(143席)に復帰したのだ。 ハンナラ党を追う恰好で「汎与圏」の予備選も始まった。結党一ヵ月の「大統合民主新党」は9人の出馬者を、まず世論調査(9月5日)で5人に絞った。「反盧」の二人と「親盧」の三人が9月15日から1ヵ月間の全国遊説の予備選を経て候補を決める。民主労働党からは3人が競うが、パルチザンの息子の権永吉が有力だ。 金大中との対決姿勢を強めている民主党は趙舜衡、李仁済、辛国煥の中から趙舜衡が候補に決まりそうだ。 ハンナラ党の「ビッグ2」(李明博・朴槿恵)の攻防が収拾し難い醜さをあらわにした時、アフガンのタリバンによる韓国人ボランティア拉致・殺害事件が起きた。有権者の関心も予備選から人質救出に移り、盧武鉉政権も選挙への関与より、人質の救出に追われた。しかし事件が一段落するや青瓦台は李明博候補を告訴するなどハンナラ党への圧迫に出た。 ハンナラ党が最も警戒してきた、第二次南北首脳会談が開かれることになった。当初は盧武鉉大統領が8月28~30日平壌を訪問すると発表したが、平壌側が水害を理由に延期を求めてきたので10月2~4日に変更された。盧武鉉大統領は先に予定されていた韓米頂上会談を犠牲にした。盧武鉉にとっては韓米同盟関係よりも、金正日に会う方が重要だとの判断である。盧武鉉と金正日は各々の思惑から会うが、期待通りの結果が得られるだろうか。 北核問題は、「6者協議」の遅れを取り戻すとして、米・朝の頻繁な接触が目立つ。韓国の左翼政権の持続を願う金正日は、何があっても保守政権の執権は阻止すべく、あと3ヵ月後の大統領選挙(12月19日)を睨みながら韓国を自分の独裁体制の利用物として完成を目指している。 韓半島の住民はもちろん、周辺の関連国も、より良い結果が得られるという確信や総合的ビジョン、覚悟もなしに、金正日が繰り広げる不確実なゲームにかかわっていく。大統領選挙が近づくのに、候補の輪郭は浮かんでいるのに不確実さや変数は減るどころか増え続けている。もちろんこの不確実さの原因は金大中・金正日・盧武鉉である。 余震続くハンナラ党の「競選」 ハンナラ党の競選(党内予備選)の結果は政権奪還へ向けての道程の険しさを予感させる。総投票数16万3617票の中、李明博が8万1084票、朴槿恵が7万8632票で2452票差の勝負だった。党内選挙人団の投票では朴槿恵が432票多く、世論調査結果を換算した票では李明博が2884票多かった。楽勝を期待した李明博陣営としては決まりの悪い僅差の勝利であった。 朴槿恵側の執拗なネガティブ・キャンペーンと、朴正煕とその時代への郷愁は予想以上に効果があった。李明博はもう少しで逆転されたかも知れない。李明博が選挙人団の投票で朴槿恵に勝ったのは首都圏と湖南地域(全羅道)だけだった。李明博は朴槿恵ではなく朴正煕大統領と戦ったようなものだった。朴槿恵は、慶尚北道の一部では95%以上の支持を記録した。朴槿恵は支持層の忠誠度から言えば、全有権者の4分の1相当の固定票を政治的資産にして来た金大中に似てきた。第二の金大中の誕生である。 李明博と朴槿恵の支持層は殆んど重なっていない。中央日報の世論調査などによると、李明博はキリスト教、40代以下、首都圏、ホワイト・カラー、高所得・高学歴層で強く、朴槿恵は低所得・低学歴、50代以上、大邱・慶尚北道地域、仏教徒で強い。今度の予備選の結果と一致する。お互い支持層が異なるので両者が固く団結すればハンナラ党は無敵とも言える。だから「汎与圏」は両者を分裂させようとする。 朴槿恵は予備選の結果に承服すると宣言したが、支持者の多くはまだ承服しようとしない。朴槿恵自身もまだすっきりした態度は取っていない。なぜか「李明博を中心に政権を交替しよう」というようなことを支持者に向けて呼びかけていない。彼女は自らの持分の確保などを計算しているのだろうか。保守右派は複雑な思いで朴陣営やハンナラ党を注視している。不自然な後味の悪さに耐え切れず、保守系のインターネット新聞6社が、ハンナラ党の大同団結を促す「共同社説」(8月31日)を発表した。インターネット新聞とはいえ、共同社説とは前代未聞のことである。 朴槿恵は9月2日、公式活動の再開として大邱を訪問し、大勢の支持者に「(大統領)候補にはなれなかったが、皆さんの貴重な意志を尊重し私が出来る仕事があると思います」といった。もしかすると、朴槿恵はまだ心の中で李明博の「候補の落馬」を期待しているのだろうか。熱狂的な朴槿恵支持グループ(「朴サモ」)が、ハンナラ党の「予備選の結果の無効」と「大統領候補効力停止仮処分」などを求める訴訟を法院に提起(9月3日)し、検察にも関連告発状を出すという。「朴サモ」の暴走は予測されたが、ハンナラ党の運命を「敵」であるはずの左派権力に任せる行動は裏切りというより卑怯である。 もっとも、「朴サモ」の一部は、李明博の当選よりは親北左派の「汎与圏」がましだと言い、左派の文国現(前柳韓キムベリ代表)支持へとまわったとの噂まである。これら「朴サモ」の過激派は政治的意識レベルの低い紅衛兵なのか、それとも最初から対ハンナラ党破壊工作を狙って潜伏していた親北左派の別働隊だったのか。 朴槿恵は自分を原則主義者だと言ってきたが、政治人の原則の出発点・基準はつまるところ憲法であるべきだ。なのに、ハンナラ党内の最大の持分を示した朴槿恵は、韓国の憲法が許さない金正日や金大中の反逆などに寛大である。李明博は未だあらゆる障害、挑戦、矛盾を乗り越え、大統領候補の登録(11月27日)に辿りつかなければならない。 親北左派の「反ハンナラ党の代表」になるのは誰か 金大中が発破をかけた「大統合」、要するに、左翼政権2期の失敗の責任を糊塗するための「大統合民主新党」が紆余曲折の末発足(8月5日)した。斬新さのために市民団体勢力を合流させても、その正体はもちろん「ヨルリンウリ党」であり、法的にも「ヨルリンウリ党」を吸収(8月20日)した与党である。 しかし、この「新装開業」にも世論の支持率はまったく上がらず、特に、新党が略称を「民主新党」にしたことに対し、「ヨルリンウリ党」の前身で本家だった「民主党」がクレームをつけ、法廷に使用禁止を求めた。対立関係の他党の類似党名を使用しようとするのは当然許されない非常識である。法院は「大統合民主新党」に略称として「民主新党」の使用を禁じる判決を下し(9月3日)、この「汎与圏」の受け皿の新党は恥をかいた。 「大統合民主新党」の恥は党名だけでない。民主改革の再出発を誓う「国民競選」選挙人団を募集したが、募集者約90万人の中二重登録者を除いた約72万人も、15%が当事者の同意を得ていないか、個人情報を盗用した幽霊党員だったし、電話連絡が出来ない選挙人数も9万4千人以上だった。だが、新党の指導部はこのことをひたすら隠し、個人情報を不法に盗まれた当事者の抗議も無視した。もとの木阿弥だった。 「大統合民主新党」から9人(孫鶴圭、鄭東泳、柳時敏、李海瓚、韓明淑、秋美愛、金斗官、千正培、辛基南)が党内予備選に登録した。党は予備選の興行管理上の効率などを考慮し、一次予備選(カット・オフ)を通過した5人を対象に9月15日から全国遊説の二次予備選を行うことにした。 一次予備選の管理は杜撰だったが、盧武鉉とは距離を置くが世論の支持度の高い孫鶴圭と鄭東泳が1、2位になった。残り3人は誰が入るのか。盧武鉉が支持する李海瓚、柳時敏、韓明淑である。 次の二次予備選では、孫鶴圭と鄭東泳、そして「親盧」(盧武鉉大統領に近い、盧からの庇護を期待できる)候補の3人(柳時敏、李海瓚、韓明淑)の対決だが「親盧」3人が一本化し盧武鉉の支援が得られれば、逆転も期待できる。金大中は、今は孫鶴圭を支援するそうだ。 第二次予備選で親盧勢力による大逆転はあるのか。李海瓚「親盧」の3人が、9月15日以前に単一化しようと提案したが、柳時敏(*李海瓚の補佐官出身)は予備選の状況を見ながら決めるべきだと応対している。いま「大統合民主新党」の候補を予測するのは難しいが、盧武鉉の意中はまず李海垂フようだ。というのは、李海瓚は金大中と盧武鉉に仕え、南北首脳会談に対しても誰よりもいち早く盧武鉉と深く情報を共有してきたからである。 しかし、「大統合民主新党」の候補が決まっても、「汎与圏の単一化」(反ハンナラ党候補)への難関が待っている。「民主党」や「民主労働党」が単一化に簡単に応じてくれることは期待し難い。ここでも金大中と盧武鉉は積極的に介入するだろう。ただし、盧武鉉・金大中が期待した本命が候補として選択されない場合はどうするのか。左派の司令部はいろんな非常対策を準備しているらしい。文国現、李寿成(前国務総理)などの名前が言われるのはそのためだ。文国現に対しては五年前盧武鉉大統領作りの先鋒だった、オーマイ・ニュースなど左派の媒体が支援している。 汎与圏(親北左派)の反ハンナラ党の候補が決まったとしても、その候補がハンナラ党に勝つ保証はあるのか。結局、親北左派はハンナラ党の分裂、破壊工作に希望をかけるしかない。そして、あらゆることを試みても保守政権の登場が確実に思われる時は親北反逆勢力は物理的暴力も辞さないだろう。 盧武鉉大統領と選挙政局 盧大統領も任期があと半年を切った。次期大統領が決まるまでは残り3ヵ月くらいだ。権力者の権限がいくら強大でも任期制により去っていく権力からは権威も力も抜ける。最近の盧武鉉はおとなしく静かにしているようだが、大統領は今何をしているのか。実はあまり御機嫌でないようだ。自分の腹心が絡んだスキャンダルが相次ぎ発覚し、大統領の「敵」のメディアにより報道されるからである。いわゆる「親盧候補グループ」の支持率も上がらない。 韓国社会の全各分野へ「学歴偽造」騒動を拡散させた起爆剤になったシンジョンア教授を卞良均青瓦台政策室長が庇護した疑惑をはじめ、鄭允在前青瓦台儀典秘書官と関連した賄賂スキャンダルである。鄭允在は盧武鉉が在野時代からの腹心なので、この疑惑が発展していくと、左派政権が自慢した道徳性はさらに回復不能の致命的な傷がついた。 政府組織や官僚社会にも、大統領の令が効かなくなった。李致範環境部長官はなんと李海瓚の選挙運動のため8月31日辞任した。盧武鉉の前任者たちの第六共和国の「文民大統領」である金泳三・金大中も親族らの非理スキャンダルで「植物状態」(レーム・ダック)になった。盧大統領も同じ轍を踏んでいる。彼の時間も前任者らの時間と同じ速度で経つ。 だが、大統領の絶対権力・権限は法的には辞任(退任)まで健在だ。大統領は何でもできる。盧大統領は、次の政権が取り戻しの出来ない反逆行為を任期中に完了しようとするようだ。例えば、首都移転は支配階層の交替のためだったが、盧武鉉は韓国社会の左傾化作業に熱心である。国家保安法の無力化をもたらす「南北交流協力法」の改正や、政府に対する言論の取材を封鎖する措置などを講じている。盧武鉉政権の言論統制に対し、韓国の「全国新聞放送通信の編集・報道局長」は緊急決議文を発表(8月30日)し、政府の取材封鎖や言論弾圧措置の撤回を要求した。盧政権は墓穴を掘っている。 盧大統領の関心は後継政権作りと、南北首脳会談であり、南北関係の進展を自分の最大業績とするための準備に取り組んでいる。 盧大統領は、中央選挙管理委員会からの度重なる警告にも拘らず、選挙への介入発言を続けている。盧大統領は、「民主主義への思いよりは、政府組織・機能を保護すべきだとの思いがした」(8月31日)とまで言った。 青瓦台は、李明博候補と核心参謀らが「国税庁や情報院を動員した(ハンナラ党に対する)政治工作の背後に青瓦台がある」と主張したのが名誉毀損だとし、李明博などを告訴する方針だと発表(九月五日)した。在任中訴追されない大統領が野党の大統領候補を告訴することは政治工作と呼ぶべきものだ。 第二次南北首脳対面は実現するのか 金正日ほど対南政治工作の経験が豊富な者はいない。韓国(南)から自分が必要なことを簡単に得るコツを知っている。口実をつけ南北関係をいつでも中断・緊張させることができる。金正日は、国際社会で自分の立場を代弁してくれた、韓国の左翼反逆政権にも配慮などしない。 金大中政権から9年以上「太陽政策」が続いたのに、南北関係は今も敵対関係だった冷戦時代のやり方で接触、協商・交渉が行われる。初歩的信頼関係も出来ていない。7年前の「6・15共同宣言」で約束した「金正日のソウル答訪」も実現せず、今度の「南北頂上会談」のための接触も、情報機関同士の冷戦型接触だった。国情院の徐薫第3次長と労働党統一戦線事業部副部長の崔承哲が予備接触(7月)をし、金萬福国情院長が8月の初め2回も平壌へ出張し、金養建労働党統一戦線事業部長と南北首脳の相逢(対面)に合意した。 今度の合意書は平壌側の一方的要求を受け入れた屈辱的ものだ。酷いのはソウルで発表した文面までも韓国語でなく、「朝鮮語」である。盧武鉉は金正日に弄ばれた。当初の8月28~30日の期間中に計画された「乙支フォーカスレンズ演習」などの軍事訓練を平壌側の要求を呑んで全部縮小・延期した。なのに、金正日は水害を理由に会談の延期を要求し、青瓦台は待っていたかのように10月2~4日を提案した。 10月の初め予定していた韓米頂上会談は、南北首脳会談に追われ縮小され、シドニーでのAPEC頂上会議(9月8~9日)前に会うことになった。10月3日は大統領が参加すべき「開天節」、つまり、韓民族の始祖の檀君の開国を記念する国慶日である。10月3日は北でも「民族の日」だ。平壌側は冷戦終結でヨーロッパの社会主義圏が消滅するや、韓国に向けて民族主義攻勢・民族共助戦術に転じ、そのため作ったのが平壌の「檀君陵」(1994年)であり、「民族の日」(1998年)である。民族の和解や「連邦制」などを議論・宣言するにはタイミングとしては最適の選択である。この10月3日が将来韓国の歴史の中で反逆の日として記憶されないことを望む。 盧武鉉・金正日の会談では何が話されるのか。北核問題は米朝会談に任せている状況だから中身ある話は無理。朝総連の機関紙は(1)韓半島の平和問題、(2)民族の共同繁栄、(3)祖国統一問題を議題として報道したが、そもそも北側は南からはいくら貰っても自分の約束を守ったことがないので金正日との議論とか、合意などに何の意味があるだろうか。 盧武鉉政権の60兆ウォン(約7・5兆円)規模の「南北経協財源調達報告書」は韓国社会にショックだったが、金正日が最も欲しがるのは多分NNLL(西海北方限界線)問題で譲歩を引き出すことだろう。盧武鉉は「平和水域」(海上非武装地帯)の設定などの方式で譲歩の構えだが、NLLは原爆以上の脅威である。彼が国家安保問題(NLL)で平壌側に譲歩すると、後で間違いなく裁かれるようになる。 アメリカ外交の迷走、大韓民国の敵になったライスの国務省 アメリカは、北核問題を契機にした米朝交渉で、金正日の崖っぷち戦術に押されるように譲歩してきたが、いよいよ韓国の左翼政権と金正日の罠にはまった。去年の夏ごろから見られていたアメリカの対北政策の異常は、ブッシュ政権から「ネオコン」が去っていく時期とも一致する。 ブッシュ大統領は、アジア太平洋地域言論とのインタビュー(8月31日)で、6者協議は成果を上げており、自分の任期内に北核問題解決及び米朝関係進展への意志を表明した。ヒルと金桂寛は、今年内に核施設の不能化と全面申告に合意(9月2日、ジュネーブ)を発表した。 しかし、まず米国は国内外に説明すべき点がある。アメリカはいったい「どのような金正日体制」と関係正常化を望むのかである。もし、アメリカが、自国民を虐殺する金正日体制とは関係正常化ができないなら、ブッシュ大統領の意欲通りになるためには、金正日はブッシュ大統領の任期内に悔い改め、善人に生まれ変わらねばならない。 ヒルと金桂寛が合意した年内とは、韓国の大統領選挙と重なる。ライスの国務省は金正日に騙されて、アメリカ国民と世界を騙している。韓半島の南・北の左翼独裁権力は、外からの国際的圧力さえなければ「民族共助」と連邦制ができる。金正日は、ライスの国務省に(形だけの)「核問題の解決」抱かせ、自分の生存を交換しようとしたのである。 どこの国も同じだが、米国務省も所詮進歩的官僚たちの拠り所である。米朝関係は金正日の思惑通りに進み、6者協議は形骸化した。6者協議参加国は、アメリカが平壌に約束した支援を提供する役割になるようだ。最近米朝接近の裏にキッシンジャーの活躍が報道されるが、キッシンジャーはまさにベトナム人を犠牲にしてベトナム問題を「解決」し、ノーベル平和賞を貰った人間である。 対テロ戦争だの、自由の拡散だの言ったが、ブッシュ政権はいつの間にかキッシンジャー式の機能主義外交に戻った。機能主義的外交は独裁体制も妥協の対象になるから、キッシンジャーの真似をしては、もはやテロリズムや独裁体制と戦うことは期待できない。 ライスは同盟国の韓国の憲法を踏みにじった。金正日の奴隷になった北の人民を救うための、体制交替に向けての韓国保守右派の戦いを妨害し保守派の背中を刺した。 しかし、米国務省を機能主義(現実主義)的に変えたのは金大中・盧武鉉政権だ。金正日と組んだ反逆政権の対米(対国務省)工作の成果が、ブッシュ2期政権の末期に現れただけのことである。ようやく東アジアの癌的存在である金正日体制を副作用なしに押さえられる方法(金正日の急所)を見つけたのに、ブッシュ政権を必死に止め金正日を救援したのが盧武鉉と金大中である。 理念戦への戦場環境 定期国会が9月3日始まった。親北勢力は国会をハンナラ党の執権阻止の場として利用する構えだ。当局はハンナラ党の予備選の日刊紙の1面に李明博の疑惑を書かせたが、左翼政権は保守派の監視・弾圧に公権力の使用をためらわないだろう。有力候補を選挙運動期間中にテロから護るための選挙法の改正も急務である。 南北頂上会談、米朝関係の進展などは大統領選挙の前の韓国社会に平和ムードを昂揚させるだろう。親北左派は「韓国進歩連合連帯」(9月16日公式発足)を中心に11月から、韓半島の平和体制の構築を求める史上最大規模の民衆決起大会を連続的に開き、大統領選挙闘争を展開して行くため、その態勢を整えている。 動員力と闘争力の弱い保守派やハンナラ党は親北左派の攻勢に応戦できるか。李明博候補は「政権交替のための汎国民連合」を構想しているようだが、保守右派の組織力や資金能力は期待できるか。 李明博は駐韓アメリカ大使と会って、今度の選挙を保守右派と親北左派の対決だと言ったが、次期大統領の選択基準は簡単である。金正日をパートナーだと思う金大中や盧武鉉のような(あるいはその路線を継承する)候補を選択するか、金正日と対決する候補を選ぶかの問題である。李明博候補や保守右派は理念戦を戦う覚悟があるのか。李明博は果たして候補登録(11月27日)まで辿り着くことが出来るだろうか。まずは金正日の選挙介入と、金正日と組む親北左派の謀略と暴力を制圧しなければならない。 |