現代コリア

TOP     日本     韓国(大韓民国)     北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)     その他     コラム一覧     佐藤勝巳     岡林弘志     五味洋治     田中明     会社紹介      

核実験で自滅を待て!
佐藤勝巳

(2006.10.5)

 

    北朝鮮外務省は、10月3日核実験を行うとの声明を発表した。日米は強い警告を発し、金正日政権のしもべのような盧武鉉政権までもが「話し合い解決に反する」と抗議声明を出した。また中国政府も北朝鮮を名指しで実験に反対する旨表明した。

 

    国連でも「強い懸念」を表明するかどうかの協議が始まっている。つまり、北の核実験表明で国際的に大騒ぎとなっているのだが、長年北朝鮮を見てきた者にとっては十分予測し得たことである。

 

    月刊誌『現代コリア』9月号の玉城素・佐藤勝巳の対談で(7月14日実施)「地下核実験を行うであろうと予測した」が、情勢は不幸にしてその通りに進んでいる。

 

    まずこの政策は、他人の迷惑など全く考えない。宣言・声明などの国際的な約束も自分たちに都合が悪くなれば平気で反故にする。

 

    例えば、今回の金正日政権が核実験を行う理由であるが、「米国が金正日政権を核で脅し、制裁で滅ぼそうとしている。だから自衛のための核実験が必要だ」というものだ。つまり、自分に非はなく、核実験をせざるを得ないようにしたのは米国だという訳である。

 

    この「自分に非はなく相手が悪い」という主張は金日成時代からの一貫した北朝鮮の政治文化だ。金正日が権力を握ってから、彼の個性によるものであるが、「先軍政治」に代表される「武力信仰」と非妥協的態度である。ブッシュ政権が交渉に応じなければ(応じるはずがない)核実験をせざるを得なくなる。たぶんそうなっていくであろう。

 

    彼らの、力関係を判断する能力はゼロに近い。従って極めて危険な集団であるということだ。これが北東アジアや国際社会において一層明白となってきた。話が通じない政権に対しては、日本・韓国・台湾も核・ミサイルを持って対抗しようとなる。事実、そうなっていくであろう(米下院で同じ懸念が表明されている)。

 

    未だに6者協議、6者協議という人がいるが、こういう人たちは外交の駆け引きとして口にしているのなら別だが、盧武鉉のように本気で金正日政権と話し合いで核を放棄させることが出来ると思っている人たちは慌てているのだ。

 

    金大中・盧武鉉は融和だ、話し合いだといって金正日政権を無条件で援助してきた。その結果、北朝鮮は7月にはミサイル7発を発射し、今度は核実験だという。金・盧両政権の、金正日政権の本質を取り違えた責任は重大である。

 

    次に中国は「朝鮮半島の非核化を支持する」と言いつつ、金正日政権に強い態度をとらず、制裁を主張する日米などを牽制してきた。結果、金正日の核実験を許すことになった。中国の責任もこれまた重大と言わざるを得ない。

 

    しかし、翻って見るに、金正日政権に核を保有させたのは米クリントン政権である。金正日政権の本質を見誤って彼らにモノを与え、考えを変えさせるという「軟着陸政策」に始まっている。ブッシュ政権はモノこそ与えなかったが、話し合いで金正日に核・ミサイルを放棄させるという6者協議を選択した。

 

    ブッシュ政権が、それが無駄な努力と気がついたのは昨年9月。体制チェンジを目指し、金融制裁に踏み切った。それが思わぬ効果を発揮しつつある。

 

    わが国は、自国民が拉致されていることが明らかになっても、また、日本から核・ミサイルの部品が北朝鮮に流れているのが分っても、何もしないどころか金正日の「宅配便」万景峰号の入港を認め続けてきた。安倍晋三氏が官房長官に就任した昨年末までは、本当に何もしなかったのである。

 

    このような国際環境の中で金正日が核・ミサイルを手にし、核実験をカードに国際社会に挑戦してきたのである。

 

    なぜこんなことになったのか。金正日政権の本質は「ならず者」である。話し合い解決などあり得ない。彼らを押さえることが出来るのは「抑止力しかない」という認識の欠如にあったのだ。

 

    いま核実験反対という声が方々で上がっているが、米国が交渉に応じれば彼らは核実験を中止するであろうが、そうなればブッシュが金正日の核恫喝に屈したことになる。このシナリオは考えられない。

 

    他方、国連でどんな決議や声明が採択されても、前述のように実験を中止するような集団ではない。ここまでくると実験をやらせて自滅に追い込むことしかない。