政治不信募る総選挙 佐藤勝巳 (2005.9.2) 今回の総選挙はほどわけの分からないものはない。解散にいたる経緯は周知のことであるから改めて触れないが、小泉首相は、郵政民営化の可否を国民に問うといっている。が、有権者で、民営化になったら、国民に取ってどんなプラスが、また、マイナスが生じるのかなど分かって投票している人がどれくらいいるだろう。皆無に近いと思う。 周辺の誰に聞いても郵政民営化の争点、問題点を明快に説明してくれる人に出会ったことがないからだ。 実体は、郵政民営化の中身が分からないまま、国民は投票していると言うことにならないのか。こんなことで小泉自民党が信任された不信任されたなどといってもナンセンスな話ではないか。 ただ一つ分かっていることは、小泉氏が郵政民営化論者であって、その人物を自民党が総裁に選出したのだから、今更反対はあるまいといって、党の了解を得ないまま強引に法案を作り国会に提案した。 参議院で否決されると、衆議院を解散して、反対した議員の選挙区に対立候補者を立てて、自己の主張を通そうとした。 小泉氏のこの政治手法を一部では、「信念の政治家」といって評価している向きがある。他方、反対派は、「独裁的手法」と批判している。今回の総選挙では、この小泉氏の政治手法が「信念」なのか「独裁」なのか当然問われることの一つとなろう。 第一、総選挙で憲法改正など国家のありようを規定する重大なテーマで争うことはありうるが、たかが郵政民営化で解散総選挙など、余りにもバランスを欠きすぎている。法案が通らなかったら小泉内閣が辞職すればすむことだ。 私は、郵政民営化などより、拉致救出が日本国家の最優先課題と信じて疑わない。国家の主権が侵害され、国民の自由が奪われ、それを三〇年近く放置し、郵政民営化もあるまい。 拉致解決で制裁の発動が是か非かで総選挙のほうがはるかに国民の納得を得ることが出来る。郵政民営化など数ある改革の中の一つにしか過ぎない。要するに小泉純一郎氏個人の願望を実現するための総選挙という馬鹿化たことではないのか。 小泉氏は、政策の優先順位を取り違えているだけではなく、その上にどの世論調査でも拉致解決に制裁を、という声が七○ %を超えている。しかし、それを無視して、経済制裁発動を頑なに拒否し続けていることは周知の事実。文字通り誤った「信念の持ち主」なのだ。 公示直前になって、金正日政権サイドから、「小泉自民党圧勝。選挙直後、山崎択氏が平壌を訪問、日ソ共同宣言方式で、日朝国交樹立の話し合いにはいる」という情報が流れてきた。 そして小泉氏が、「経済制裁発動をしないのは、日朝国交樹立し、歴史に名前を残すためだ」というコメントも付いる。もちろん裏の取れない話であるが、この話は金正日サイドの願望が込められているにしても、小泉氏が制裁発動を拒んでいることとピッタリと符合している。 そもそもあんなテロ政権と何で国交を結ばなければならないのか。よりましな政権と国交樹立するのが常識だろう。小泉氏は、これまで国交樹立前に拉致問題の解決を図ると公言してきた。だとすれば、これは郵政民営化とは違って立派な公約違反だ。 また、金正日政権サイドが言っているように、小泉氏が本気で日朝国交樹立を考えているのなら、これは拉致と核の棚上げに他ならない。 小泉氏個人の利益のため、国益や被拉致者・家族・国民を裏切る売国行為と断定してよい。拉致救出に理解のあった安倍晋三氏が、こんな小泉氏を積極的に支持している。最近、被害者家族から「政治家は信用できない」という失望の声が聞かれるようになった。しかし、われわれは金正日と小泉氏と断固戦い続ける。 |