南北トップ会談実現か? 佐藤勝巳 (2005.1.11)
盧武鉉大統領 「2月までに南北トップ会談が実現できる。それまで米国は北朝鮮に対して動かないで欲しい」 ブッシュ大統領 「分かった。しかし、米国は2月以降は自由に動く」 この会話は昨年11月13日、チリで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)のとき、ブッシュ・盧武鉉個別会談の時のやりとりであった(韓国情報関係筋)という。 この話を裏付けるように、韓国では昨年末から南北トップ会談の話でもちきりである。『現代コリア』3月号座談会でも「南北トップ会談」が最大の話題となった。 座談会の結論は、「実現の可能性高し」というものであった。その根拠は、ブッシュ政権の北朝鮮の核に対する妥協は100%ないということである。具体的には国連や核拡散防止機構(PSI)を使って、ミサイルの輸出等を規制する経済封鎖などを実施し、金正日政権に大量破壊兵器の破棄を迫る。すると、金正日政権の混乱または崩壊が予測される。それを回避したいという点で、金正日・盧武鉉の考えは一致している。 ブッシュ政権は実施してくるであろう圧力回避の手段として、南北のトップが会談で「民族共助」「自主的平和統一」「連邦制」など紙に書き(実際実現できるかどうかなどは二次元的なこと)、「民族の内部問題に米国は干渉するな」と世界にアピール、ブッシュ政権を牽制し、両政権が生き延びるというのが目的である。だからトップ会談の実現の可能性は高いというもの。 韓国の盧武鉉政権は、経済政策の失敗などで支持率は下がりっぱなし、このままの状態で4月の補欠選挙を迎えると、与党の勝ち目はない。敗北すれば、国会での議席数は過半数割れとなり、大変な困難に直面する。 また、トップ会談が実現しなければ、盧武鉉大統領の支持基盤である左傾勢力からも見放される。従って盧大統領にとってトップ会談実現は「絶対的必要条件」となっている。 一方、金正日は骨が偽物であることが暴露されたことにより、これで拉致問題に幕を引き、日本からカネを取るという虫のよいシナリオはご破算になった。 解決不能な慢性的飢餓状況・加えて幹部の亡命や失脚・意見の対立・金正日の指導力の低下・国を捨てる脱北者は後を絶たず、内部矛盾は爆発寸前にある。 ブッシュ大統領の再選で人事が終了すれば、金正日への圧力は避けられない。主観的にも客観的にも南北のトップは、文字通り瀬戸際に追い詰められいる。これが南北の現実である。 金正日が盧武鉉に要求しているのは、会談料10億ドルと、国家保安法の撤廃など、所謂「四大法案」の実現であると伝えられている。しかし、南北とも政権の土台が揺らぎだし余裕がない。妥協は容易に成立するであろう。 そうなった場合の日朝関係がどうなるのか。以下は筆者の推定である。 小泉首相のところに南北から「トップ会談近し、経済制裁をしないでほしい」という要請がきているとみるのが常識であろう。小泉首相が経済制裁発動を躊躇している背景には、昨今の南北情勢が反映していると思われる。 平成12年6月南北トップ会談が開催されたとき、当時の河野洋平外務大臣は、明日にでも南北統一が実現するかのごとき妄言を吐き「今こそコメ支援の時だ」と言ってテロ国家に50万トンを無償供与した。 あれから3年半余が経過したが、統一問題は、そして拉致問題はどうなったのか。拉致についていうなら、小泉首相は、金正日に52億円も支払ってニセの骨を掴ませられただけだ。間違ってもわが国政府は、日本人を拉致し、核開発を続けているテロ政権に再びコメ支援するなどという犯罪行為をしてはならない。 |