小泉首相は勘違いしてはならない 佐藤 勝巳 (2004.6.8) 「もう我慢の限界だ」「小泉首相はもう一度ピョンヤンを訪問し拉致問題を解決して欲しい」と、昨年末以来、家族会のごく一部から機会ある度にこのような発言がなされていた。 更に、4月30日家族会など4団体主催の日比谷野外音楽堂で「今こそ経済制裁を」のスローガンで集会(とデモ)を行った。その集会の壇上から、被害者家族蓮池家から集会スローガンと全く異なる「小泉再訪朝拉致解決」という提言がなされた。 私は閉会挨拶で異例を承知の上で、敢えて「経済制裁の発動が出来ない首相が、ピョンヤンに行っても成果は期待できない」と反対を表明した。 しかし、3週間後に小泉首相は訪朝し、まさか身代金一人最低20億円近くも払って、その上「経済制裁を発動しない」と、金正日に約束するなど想像もできなかった。自分の不明を恥じずにはいられない。 ところで一部被害者家族から「我慢の限界」「小泉再訪朝」という声が出なかったら、小泉首相は参議院選挙のため、はたまた、日朝国交を樹立し、歴史に名を残すためで仮にあったとしても、被害者家族の反対を押し切っての訪朝は出来なかったと思う。 1月中旬の家族会総会で、今後の運動方針を巡って、家族一人一人の発言が続いた。安否不明者の家族の一人が、「帰って来ている家族の皆さんにお願いします。もう少し待って頂けないでしょうか」という発言と同時に会場内に緊張が走った。だが、かつての「横田滋会長訪朝問題」に見られるように、安否不明者たちも、蓮池・地村家と同じ立場になったら類似の行動をとらないという保障はない。ことほどさようにわれわれは強くないのだ。 両家は、他の家族と一緒に経済制裁に同意したら、「いつ孫の顔が見られるか分からない」、「小泉首相がもう一度ピョンヤンに行けば肉親が帰って来るかも知れない」と思ったであろう。同時に裏で首相と両家を任務分担して、それぞれ工作していた者がいたような気がしてならない。 小泉首相は「自分だからこそ、5人を取り返したのだ」と言っているが、テロ政権に身代金を払い、その上「経済制裁をしない」と金正日に白旗を掲げ国益を売ったからこそ、5人の子供が帰って来たのだ。勘違いしてはならない。 拉致の奪還は「圧力」以外にない。われわれは未帰還者全員を取り返すために、経済制裁発動をあくまでも政府に求め続ける。 |