存在しなかった慰安婦強制連行 佐藤勝巳 ★この論文は1996年12月13日付『夕刊フジ・社説』に「なぜ?今ごろ米国への入国禁止」として掲載されたものです 信じがたいことが起きてきた。12月3日米司法省は、日本の旧陸軍731部隊(細菌研究)関係者と元慰安所経営者一人を含む16人を米国への入国禁止処分にしたという。 戦後半世紀を経過し「なんで今頃」と怪訝に思ったのは、私一人ではなかろう。その後の報道によると200名の日本人が米国への入国拒否対象に上がっているという。一体米国は何を考えての措置か、不可解な話だ。 旧731部隊については、専門外なので発言はできないが、問題は、旧慰安婦問題に関与したとされるケースである。 何度も言うが日本の国家権力が「従軍慰安婦」を「強制連行」などしていない。それでは何があったのかだ。 第二次世界大戦中のアジアには、日本を含め悲しいことに自分の娘を売って、一家が生き延びなければならないどうしょうもない貧困が各国に存在していた。 このような社会状況の中で、娘を買って、公娼や私娼経営者に売春婦として斡旋をしていた「女衒」と呼ばれた仲介業者が日本人にも朝鮮人にもいた。売られた各国の娘は、客に体を提供、収入をえ、前借金に充当させられた。これが当時の売春業の実体だ。 太平洋戦争に突入、日本軍は、中国大陸や東南アジアに戦線を拡大するにおよび、一部売春業者が、これら軍隊を相手に売春業を現地で始めた。売春相手が、民間人か軍人かの違いはあるが「女衒」が娘をカネで買って業者(日本人も朝鮮人もいた)に供給している構造に変化はない。 問題は、我国の国家権力が「女衒」と同じことか、または、強制連行したかどうかである。それに該当する資料はなにもない。 「連行」されたと称する人たちの発言を調べたら、どれも「女衒」との関係は推定されても国家権力に「強制連行」されたことを証明できるものはない。あったら証拠を示して欲しい。 それなのに国家権力が「従軍慰安婦」を「強制連行」したかのごとき記述が、教科書に登場してきた。これは明白に歴史の捏造である。事実あったのならどんな醜いことでも直視する勇気が必要だ。だが、ないものがあったということになったのだから恐ろしい。この歴史の捏造を根拠に、今度は米国が、日本人の米国入国を拒否するという事態に発展したのである。 なぜこんなことになったのか。宮沢内閣の末期、河野官房長官のあたかも慰安婦募集に国家権力の関与があったかのごとき犯罪的な談話を発表したことにある。それに加えて昨年8月の自社さ連立政権による国会での過去の歴史に対する「謝罪決議」だ。 こんなことをすれば、外国が、日本国家が慰安婦の「強制連行」を認めたと理解するだろう。橋本政権は、国益のために自党の過去の誤りを改めることを躊躇してはならない。 |